職人さんたちとともに、快適な寝具をここで作っています。国家資格である技能士として身に付けた技で手作りにこだわる 大学卒業後、大郷さんが通ったのは東京・板橋にあった布団の専門学校「蒲団技術学院」(現在は閉校)。全国のふとん店の跡継ぎなどが住み込みをしながら、布団制作を一から学ぶ学校です。
ここに2年通い、国家資格の「寝具技能士」を取得しました。その技術を生かし、ミシンや手縫いで作る布団を今も職人さんとともに作り上げています。「今、布団は工業製品化していて大量生産のものが多いのですが、素材が化学繊維だと蒸れたりして快適さがない。
綿、麻、羊毛や羽毛、真綿といった天然素材は蒸れずに快適なので、うちでは天然素材を使っています」と大郷さん。実は先代の時代は、今のような手作りが中心ではなく、布団を仕入れて富山や岐阜のふとん店に卸すという卸業が中心だったそうです。
それが次第に商店街から布団店が消え、卸業が難しくなってきたことなどから、もっと専門性を持ったふとん店になろうと決意。技能を身に付け、今のような手作りふとんを作るふとん店に生まれ変わったのです。「手づくり快眠まくら」でぐっすり睡眠 寝具のなかでも、寝る姿勢にとって重要なのが、枕です。
「手作り快眠まくら」は、寝返りしやすい理想的な枕を目指して作られています。高さの異なる部品を組み合わせたような形状で、首に負担がかからず、あおむけでぐっすり眠れるような作りです。体に最適な枕を使用することで、首から肩にかけて負担がない楽なポジションを保つことができます。
すると背骨を含む身体全体が良い姿勢になろうと作用して、良い寝姿勢で眠ることができるのです。中はそば殻ですが、アレルギーがある人には、備長炭パイプなどほかの素材を入れることもできます。もちろん、寝具制作技能士である大郷さんや3人の職人による手作り品です。
枕は柔らかめより硬めがよく、ふとんは硬めよりも柔らかめが良いということも伺いました。なるほど触ってみると、ちょっと硬さのあるしっかりとした感触でした。寝具が健康をつくる 「眠りを改善することで健康状態も良くなる」と話す大郷さん。
ふとんを作るだけでなく「ふとんでどう寝るか」という眠り方の情報発信にも力を入れています。「いま、睡眠で悩んでいる人はとても多く、高齢の方ばかりでなく30・40代の働き盛りの方から、高校生まで、睡眠障害があるといわれています。
そういう人のために、どうすればよい睡眠が得られるのかを伝えるのも仕事だと思っています」。そこで、医師やカウンセラー、スポーツトレーナーらと、2007年に「ぐっすり眠る会」を設立。眠りの勉強会や講演会を主催して、眠りの知識を広める活動もしています。
県内の事業所や学校、さまざまな団体などで講演を行い、2019年までに講演実績は318回にもなりました。眠りの悩みを解決する4つの習慣 眠れない悩みを解決するために、大郷さんは4つの習慣を勧めています。一番重要なのは、寝るときは「仰向けで寝て、仰向けで起きる」こと。
横向きで寝るのは不要なのだそうです。さらに、寝る前には仰向けの状態で膝を立て、右、左と順に体を倒す「寝返り体操」を勧めています。これを何回か繰り返してから寝ることで、寝ている間に適度に寝返りを打って体を調整しながら、起きるときは仰向けで目覚めることができるのだそう。
二つ目は寝るときは鼻呼吸をすること、三つ目は季節に合った適正な寝具を手入れして使うこと、四つ目は日中は適度な運動をすることです。寝具のプロが眠りの悩みにアドバイス もちろん店頭では、眠りの相談ができ、寝具のプロならではのアドバイスを聞きながら、自分に合う商品を選ぶことができます。
大郷さんは、お客さまがどんな眠りの悩みを持っているかをヒアリングするため、チェックシートも用意。肩や腰が痛い、日中眠気がある、眠りが浅い、といった眠りに関する悩みや不満を尋ね、使っている枕やふとんの情報を聞き、それにより、一人一人にあった、適正な寝具や眠り方のアドバイスをしています。
枕を作るときにも、ちゃんと悩みを聞いて作ってくれるそうです。「顔のわかる商売がしたい」 大郷さんのもとには、たくさんのお客さまから「大事に使っています」「よく眠れるようになりました」といった喜びの声が届いています。「ふとんや枕は、一度売って終わりではなく、打ち直しなどのメンテナンスや、時には買い替えも必要です。
ふとんの専門店として、その人に合った商品をお勧めするだけでなく、眠り方のアドバイスもし、さらにはセルフケアやメンテナンスのことなどもちゃんとお伝えしたいのです」と熱く語る大郷さん。量販店ではないからこその、お客さまとのつながりで、より良い眠りにいざなってくれているのです。
よりよい人生に変わる「眠りの伝道師」 大郷さんは、2013年に「100年続く老舗寝具店の店主が教える 最高の眠り方」という本を出版しました。一生のうち20年間は眠りの時間。著書では、睡眠の質を上げることで人生が変わることを伝えています。
職人として、よく眠れる寝具を作り、またその使い方や眠り方について、講演や書籍で広めていくまさに眠りの伝道師。大郷さんのお話を聞いて、自分のためにもこの快眠まくらをぜひ手に入れたいと思いました。快適に眠ってすっきりと目覚める朝はさぞかし気持ちがよいことでしょう。
眠りの悩みがある方は、ぜひ寝具の見直しからはじめてみませんか。「眠って疲れる」から、眠るのが楽しくなる日々を過ごしましょう。