お酒は、米と水を原料に、人と微生物の力によって出来上がる発酵食品です。玉櫻酒造では、それらが醸し出す「複雑さ」や「野性味」まで楽しんでいただける、滋味豊かで生命力に溢れた酒を目指しています。地元農家と造る高品質な酒米。平成7年より、地元の農家の方と酒米委員会を結成し、情報交換を行いながら、高品質の酒米造りに努めています。
五百万石、山田錦、改良雄町、佐香錦、近畿33号、やまだわら、神の舞など、様々な種類の酒米を栽培していただいています。純米酒などの特定名称酒は、毎年ほぼ100%地元のお米を使用して造っております。(30BYでは100%地元産米使用) お酒の味を決める要因はいくつかありますが、原料米の違いから生じる味の違いを大切にしています。
年によってもお米の出来に差はありますが、品種毎に、硬さや割れやすさ、味の出方が違います。素直に造れば、お米の特徴が活きた、飲んで面白いお酒になると考えています。美しい水色。ミネラル豊富な仕込み水。仕込み水には、蔵の敷地内に掘られた井戸水を使用しています。
白い琺瑯タンクに汲み上げると、綺麗な水色を呈します。この色は、水に含まれる少量のミネラル分に由来します。ミネラル分は、醪の発酵を促すことが知られています。弊社の井戸水は、成分分析結果からも、酒造りをするのに非常に適している水であると言われています。
水量が豊富なため、仕込み水として使うだけでなく、私達の生活用水もこの井戸水でまかなっています。お酒造りに使うだけでなく、毎日飲んでいるとても馴染みのある水なのです。酒は発酵食品であるということ 玉櫻酒造のお酒は、すべて純米酒です。
純米酒は、原料米や仕込み方の違いで約10種類に造り分けています。酒母(もと)の取り方は、速醸と生もとの2種類。力強い麹を出し、お米をしっかり溶かし、醪を健全に発酵させきる事を念頭において作業しています。近年、やむを得ず熟成期間を設けれない酒もありますが、基本的には、熟成され味が熟れたタイミングで温めて飲んでいただこうと思って造っております。
造りながら意識していることは大きく分けて3つあります。
【発酵食品であるという事】 お酒は「複雑さ」や「野性味」を楽しむ事を覚えた大人が嗜むものです。なぜか飲みたくなる、飲んでいて安心する、飽きる事がない。発酵がもたらす、「複雑さ」や「野性味」は、こんな風に感じていただくための重要なキーワードです。
玉櫻は、お酒が持って生まれる発酵食品独特の風味を大切にしていこうと考えています。
【お腹がすくお酒に】 すっきりしているとか、クセが無いとか、そういう風に評価されるお酒が、料理には合うと言われる方が多いですが、少し違うように感じます。
クセが無ければ、料理の邪魔こそしないかもしれませんが、手伝いもしていません。脇役です。お酒を口に含むと何か食べたくなる、何か食べるとお酒が欲しくなる。玉櫻と料理はそんな関係を築きたいと思っています。
【強さも必要】 御祝いだったり御供えだったり、色々な場面でお酒をつかっていただきます。例えば、来客があった時、大切にとっておいた数年前のお酒をあけたとします。時を経た事で、味が損なわれていると、がっかりされる事でしょう。
造り手としても申し訳ありません。お酒には、経年変化に対する「強さ」が必要です。時間が経つ程、味に深みが増す。そんなお酒にしていきたいと考えています。日本の伝統を未来へ 水どころ、米どころは酒どころ。豊かな水が流れ、美味しいお米がとれるところに美味しいお酒ができあがります。
弥生時代から続く我が国のお米の文化、古来から続く発酵という自然の力を人類が発展させた我が国の発酵文化、これらが融合してできた結晶の一つが日本酒です。私たちが現在一部の商品で取り組んでいる「生もと造り」は、江戸時代に完成された伝統の技法です。
その工程の重労働さと大変さ、完成までに長期間かかることから、新たな技法(速醸)が主流となりました。新たな技法の良さももちろんあり、玉櫻酒造でも取り入れています。現代の技法よりも伝統の生もと造りで作る日本酒は、もと由来の風味が強く、旨味の強いお酒が出来上がります。
さらに、熟成を経ることでより美味しくなる日本酒が出来上がります。日本酒は、その地方、その蔵、そこにいる蔵人の考え方、取り入れる技法で様々なお酒が出来上がります。様々な日本酒に出会える楽しみが日本の地方で続けられるよう、また、後世へと日本の宝を伝え続けていけるよう、日々、酒造りに取り組んでいます。
天然記念物「源氏蛍」が舞う郷で〜池月酒造 自然豊かな中国山地にある島根県邑南町阿須那(あすな)地域は、邑南町に合併する前は、羽須美村(はすみむら)と呼ばれる自然に囲まれたまちです。まちの中には、出羽川が流れ、清流に住む源氏蛍を数多く見ることができることから、天然記念物に指定されるほど。
酒造りに適した気候の中で造り出させる地元産の酒米と天然の良質な湧き水。その地域の恵みに感謝し、杜氏・蔵人たちが、毎年日本酒を仕込みます。機械に頼らない、昔ながらの手作りで。凍てつくような寒い冬は、酒造りが最も熱く盛んになる季節。
どんなに寒い日でも洗米は手洗いで行う。酒の搾りは、昔ながらの「木槽しぼり」。近代のポンプによる圧力ではなく、じっくりと一昼夜かけて一滴を大切に搾ります。ゆっくり、じっくりと垂れる酒の雫。その宝石が集まった清酒は、酒米の味が力強く伝わる酒となります。
名誉顧問杜氏の三島杜氏いわく、 「よい日本酒造りは、酒と向き合い目一杯手をかけてあげる事。機械を使わず肌で酒が語りかけてくることを聴いてあげる事が大事である。酒は造るものではなく、醸すもの。米(子ども)を自然の力を借りて立派な清酒(大人)へと成長させることが、酒を醸すことであり、それが我々の仕事である。」 自然の恵み、重ねた技術、造り手の愛情を注ぎこんだ美味しいお酒をぜひご賞味ください。
名馬「池月」の伝説が残る町 平家打倒に挙兵した源頼朝の愛馬である「池月」。青い毛並みに白い斑点が池の水面に映る月影のようだということで「池月」と名付けられたその名馬は、宇治川の戦いにおいて、源頼朝より佐々木高綱が拝領し、水際の先陣争いに見事勝ったという。
この名馬「池月」の伝説は、各地に残っており、ここ羽須美地域にも古くから伝承が残っています。邑南町は、古来よりたたら製鉄で賑わい、運搬に使う牛馬の生産も盛んで、日本の中でも最大級の牛馬市が開催されており、昭和時代まで続くほどでした。
時は、源平合戦の頃、母馬を池で亡くし、水面に映る自分の姿を母馬と思い、何度も水に飛び込んだ「池月」は、泳ぎのうまい馬がいると評判となり、その噂を聞きつけ水際の戦いに役に立つと源頼朝が気に入り、阿須那の賀茂神社で開催された牛馬市にセリに出たところを買っていったという・・。
池月酒造の名酒「誉 池月」は、地域に伝わるこの伝説が由来となっており、名馬の里 活性原酒・ピンク酒・上撰・佳撰のラベルにもこの名馬池月をあしらったデザインを施しています。自然の恵みと地域に残る誇れる歴史をこれからも後世へと紡いでいきます。