水はけのいい「段々畑」と、 宿毛湾のきれいな海から吹く「潮風」による適度な刺激、 そして温暖な高知自慢の「日光」 この3つが揃っていることが、実が甘くなり、濃い味のおいしいポンカンができあがるこの上ない環境なのです。収穫は完熟したものから。
さらに収穫後の「追熟」にもこだわります。羽賀農園のポンカンが美味しいもう一つの理由が羽賀さんのこだわりにあります。皆さんは、柑橘類の味が、収穫の時期や方法で驚くほど大きく変わってくることをご存知でしたでしょうか。羽賀さんがこだわっている、“樹の上でしっかり色づいたものから穫る”ことこそ、甘くておいしいポンカンをつくる秘訣。
実は一般的に柑橘類を樹の上で熟成させることは非常に難しいとされています。柑橘類が熟れる冬の寒い時期は霜が降り、それによって実の中身がスカスカになってしまうからです。また、売れ時で単価も高く出荷できる年末のお歳暮時期に売りたい農家さんも多く、熟成を待たず12月中に収穫して出荷することが多いんです。
これらの理由から、甘くなりきっていない未熟なポンカンが市場に出回ります。それに対して羽賀さんのポンカンは、おいしさにこだわってしっかり樹の上で熟成させています。温暖な宿毛市は霜が降りず、しっかりと熟れさせることができるからです。
またおいしいポンカンを作るため、お歳暮時期の出荷をせずに熟成を優先させるのです。さらに、収穫してから倉庫で丁寧に寝かす「追熟」の行程もしっかりと行います。収穫してからもすぐには出荷せず、適温に保った保管庫で1ヶ月〜2ヶ月間長めにじっくりと寝かせることで実の中の糖や酸が変化し、バランスのよい甘さと芳醇な香りが引き出されるのです。
これらの行程をしっかりと踏んでいるからこそ、甘さのつまった濃い味のおいしいポンカンができあがるんです。農薬は、時期を選んで最小限に。作物を育てる上で避けて通れないのが病気や害虫による被害と農薬の問題。羽賀さんはできる限り農薬を使わない育て方を試行錯誤してきました。
例えばどの時期に使うと少ない量で一番効果を出せるのか、最低限必要な量はどれくらいなのかなどを研究し、できる限り農薬を減らした生育方法を実現。多くの方に安全に食べていただけるポンカンを目指しました。これにより、皮を使ったマーマレードやお菓子なども気軽に楽しんでいただけます。
皆さんにおいしく食べていただけることを励みに こだわりのポンカンを作り続けています。話しやすく、優しい笑顔でたくさんのこだわりを教えてくれた羽賀さん。穏やかな話しぶりの中に、おいしいポンカンを作りたいというしっかりとした想いが感じられます。
2018年には豪雨による甚大な被害を受けた宿毛市。羽賀さんの畑も土砂や木が流れ、未だ大きな傷跡が残っていました。畑までの山道も土砂が覆いかぶさり、元に戻るまでにはまだまだ時間がかかる状況。そういった中でも羽賀さんはおいしいポンカンを作ることにこだわり続け、明るく畑へ向かっていました。
この羽賀さんの表情がこれからの宿毛市の将来を表しているように感じて、とても誇らしく思えたことをおぼえています。