なんと、ボクシング元日本チャンピオン! 松岡農園三代目の良太さん、実は大阪でプロボクサーとして大きな実績を残したという顔を持ちます。なんと第54代日本ウェルター級王者日本チャンピオン。「浪速のターミネーター矢田良太」の名で知られ、たくさんの人に愛されていました。
厳しい練習に耐え、忍耐強さと向上心を持って取り組む、想像を絶する厳しい道のりであったことは容易に想像できます。「ボクシングで日本一になったから今度は文旦の世界でも日本一になりたい!」 ボクサーをやりきった後、引退して文旦農家としてそれまでボクシングにむけていた熱量を文旦に向けることに。
持ち前の、努力と勉強の姿勢が、今は文旦育成に注がれています。「この味を絶対に残したい」良太さんの強い想い 50年続く松岡農園。初代のおじいさんの代でお客さんとの直接の販売の道を切り開き、そして二代目のお父さんの代で全国へ販路を広げ、ファンも増えました。
その三代目を継いだ良太さん。農園の娘さんと結婚したことで、大阪から文旦農家として宿毛市に移り住んできました。畑は、山をどんどん登っていった先にあります。いつも笑顔で穏やかな良太さんですが、ハサミを持つと表情が変わります。
文旦農家を継いで間もない頃、お父さんに「お前は欲張りで切りきらん」と言われたことがあったそう。たくさんの実を成らせたい思いから剪定や間引きを充分にできなかったのです。もっとたくさん枝を剪定してあげた方が樹にも優しく、おいしい文旦ができることを、その時にお父さんから教わったと言います。
「父さんは丁寧に静かに優しく説明してくれる」 「偉大だなといつも感じる」 と嬉しそうに話す良太さん。その表情からは、お父さんを深く尊敬し、真摯に学び続けようとする姿勢が見て取れます。そして、その上で、これから自分が3 代目として責任を持ち、自分の名前で文旦農家を継いでいく覚悟の意味も込めて、「チャンピオン文旦」という名前をつけました。
「これがチャンピオン文旦になるねんぞ!」と樹に話しかけながら日々目標を持って大切に大切に育てています。「文旦作りもボクシングと同じで、しっかりと目標を持って取り組むことが大切。手をかけたらその分返ってくる。」と言います。
「自分がファンじゃなかったら継いでなんかない」 「うちの文旦の味が好きだから継ぎに帰ってきた。自分がファンじゃなかったら継いでなんかないですから」と笑う良太さん。これまでやってきた努力への自信と、文旦への愛情を感じることができたように思います。
元ボクサーと聞いて怖い人が現れるのかと思いきや、良太さんは笑顔で腰が低く、言葉選びも丁寧。なのにどこかエネルギーに溢れ、文旦への前のめりな姿勢が言動の端々から感じられる人でした。近隣の農家さんにもとても可愛がられるそうで「ほんとにいい町に来させてもらったなと思う」と嬉しそうに話す表情はとても印象的でした。
良太さんの熱い想いと愛情を受けて育った美味しい文旦。ぜひ一度、食べてみてください。